特殊清掃を通して死を考える本「跡を消す: 特殊清掃専門会社デッドモーニング」
遺品整理・特殊清掃のクヨカサービスでございます。
今回は、特殊清掃に関する本を1冊紹介したいと思います。
それは、「跡を消す: 特殊清掃専門会社デッドモーニング」。
ポプラ社小説新人賞も受賞した、前川ほまれさんのデビュー作です。
前川さんはなんと看護師として働きながら、この小説を書きました。
看護師も、特殊清掃業者も、「死」と向き合う仕事。どこか、共通する想いがあるのかもしれません。
特殊清掃という仕事は、重要さが気づかれては来ているものの、まだまだ認知度の低い業種だと思います。物語の力を借りながら、多くの人にこの仕事について知ってもらえればと思います。
特殊清掃業を通して死と向き合う「跡を消す: 特殊清掃専門会社デッドモーニング」
(画像出典:Amazon)
このお話の主人公は、気ままなフリーター生活を送っていた若者。ひょんなことで特殊清掃業を営む会社の社長と出会い、2人でさまざまな現場に足を運ぶようになります。「死」にはいろいろな形があり、それにどう向き合っていくか。生々しい描写とともに、脇役に至るまで魅力的な人物描写で心の動きが書かれた一冊です。
連作短編集になっているので、少しずつ読み進められますよ。
子どもを無くした親の話、一緒に暮らしていながら家族の死に気づけなかった話など、正直読んでいてツラい話ばかりです。特殊清掃業者の話も、業界を経験したことがあるのでは?と思うほどリアル。
特殊清掃という業種を知らない人でも、その実態を想像できると思います。
ノンフィクションではないのですが、だからこそストーリーに心動かされますし、主人公の思いに揺さぶられる形で「死」について今一度考えたくなると思います。
特殊清掃業について、もっと理解してもらいたい
私たちは、特殊清掃を生業としていますが、普通の生活を送る人にとって、まだまだ馴染みのない仕事だなと感じます。ですが、本の中でも描かれている通り、いつ必要になるかわからない仕事ですし、間違いなく今後はより依頼する場面が増えると思います。
そんな時に、特殊清掃に携わる人が、どんな気持ちで、どんなふうに立ち向かっているのかを想像できれば、依頼する際も少し気が楽になるかもしれません。
「ダ・ヴィンチニュース」に掲載された著者インタビューでは、特殊清掃について次のように語っています。
それで見つけたのが、特殊清掃員という職業でした。そんな仕事があるのかと驚きましたが、人は生きている限り亡くなるものですし、孤立死することも決して珍しくはない。だからこそ、まだあまり知られてはいないものの、とても必要とされる仕事なのではないかと思ったんです。
(引用:https://ddnavi.com/interview/471678/a/)
これは、私たちがこの仕事に力を入れているのと全く同じ気持ちです。そういった気持ちで本を書いてくださったことに、なんだか感動してしまいました( ;∀;)
特殊清掃についての本というと、「グロそう」とか「悲しそう」とか、そういったイメージが湧くかもしれません。しかし、この1冊は登場人物の心の動きを通して「死」について考えることができる良書です。特殊清掃についてはノンフィクション本もたくさん出版されていますが、物語に没入できるのは小説のいいところですね!
ちなみに、遺品整理業者を描いた作品としては、さだまさしさんの「アントキノイノチ」もおすすめです(同名で映画化もされています)。
連日の猛暑で、外出を控えている方も多いと思います。
室内で過ごす時間のお供として、ぜひご紹介した本を読んでみてください。
私たちの仕事について、具体的にイメージしてもらいやすいと思います(^o^)
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